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「34年ぶりの地価上昇」のニュースを、そのまま信じていいのか

稲垣

2026年9月17日

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先日、令和8年の群馬県地価調査(基準地価)が公表されました。全用途の平均変動率は0.2%となり、平成5年に下落へ転じて以来、実に34年ぶりのプラス転換というニュースが県内でも話題になりました。


「地価が上がっている」と聞くと、実家の空き家や所有している土地も「今が売り時では」と思われる方も多いかもしれません。しかし、実際に不動産の現場に立つ立場からすると、このニュースにはいくつか注意して読むべきポイントがあります。今回はこの点を整理しながら、空き家オーナーの皆さまが判断を誤らないための視点をお伝えします。


「上昇」の中身は、実は一様ではない

まず押さえておきたいのは、今回のプラス転換は「県内全体が満遍なく値上がりした」という意味ではないという点です。

県内354地点(継続地点)を用途別に見ると、住宅地は依然としてマイナス地点の方が多数派です。全用途でプラスに転じたのは、商業地・工業地の伸びが大きく、これが住宅地の下落分を押し上げてカバーした結果です。工業地は継続地点すべてがプラス、商業地もプラス地点が大多数を占める一方、住宅地は下落地点が上回っています。

地域別に見ても、高崎市・太田市の中心部やその周辺、そして観光需要が伸びる草津町などは住宅地・商業地ともに明確な上昇が見られますが、それ以外の多くの市町村、特に山間部を含む郡部では下落基調が続いています。


つまり「群馬県の地価が上がった」というのは、正確には「一部の成長エリアの上昇が、県内の広範囲な下落を数字の上で覆い隠した」という状態に近いというのが実態です。

ただし一点、明るい材料もあります。住宅地の平均下落率は前年の△0.4%から今年は△0.2%へと縮小しており、下落しているマイナス地点の数自体も前年より減少しています。下落基調にあるエリアでも、その勢いは着実に弱まってきていると言えそうです。


地価は上がっても、「売れる実感」が伴わない理由

もう一つ大事なのが、「地価調査の数字」と「実際に売れる感覚」は、必ずしも一致しないという点です。

地価調査が示すのは、あくまで更地としての土地の標準的な価格です。一方、実際の住宅購入者が見ているのは、土地代に建築費を足した「総支払額」です。近年の建築費の高騰は、この土地代と建物代の合計を押し上げており、購入者の予算感は決して楽になっていません。

実際、県の資料の中にも興味深い記述があります。高崎市・太田市の中心部では地価の上昇が顕著である一方、建築費の高騰により中心部の過熱した地価を避ける動きが見られ、需要が外延部(郊外)へと広がっているというのです。つまり、地価が上がっているまさにその中心部で、買い手側は建築費の重さから逃げるように郊外へシフトしている、というねじれが起きています。

この構図は、私自身が不動産の現場で感じている「地価は上がっているはずなのに、実勢としては重い」という感覚とも符合します。地価という指標だけを見て「不動産市況は好調」と判断するのは、実は危うい面があるということです。


空き家オーナーの皆さまへ

こうした状況を踏まえると、空き家や実家の土地の売却をお考えの方には、次の2点をお伝えしたいと思います。


一つは、「自分の土地があるエリアが、県全体の上昇トレンドに本当に含まれているか」を確認することです。高崎市中心部のような成長エリアなのか、それとも郡部の下落基調にあるエリアなのかで、置かれている状況はまったく異なります。


もう一つは、地価の数字だけでなく、「建物込みでいくらなら買い手がつくか」という実勢の感覚を、地域に根ざした不動産事業者から直接聞くことです。ニュースの見出しだけで判断すると、売却のタイミングを見誤るリスクがあります。

私どもでは、空き家の管理だけでなく、売却をご検討される際の地域相場や実勢のご相談も承っております。「そろそろ実家をどうするか考えたい」という段階でも構いませんので、お気軽にお声がけください。

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